海外での就職、海外大学/大学院への進学、海外移住を検討されている方、また近年は日本国内の大学受験においても「IELTSのスコア」が必要な場面が増えてきました。
IELTS™(アイエルツ)とは、International English Language Testing Systemの頭文字をとったもので、国際的に認められた英語能力を証明するため試験です。
この記事では、日本国内のIELTS運営事情や試験内容、難易度、受験料から受験の際に注意すべきポイントまで、IELTSデビューに必要な情報をまとめています。
既に受験を始めている人の疑問点の解消にも^^
【関連ワード】IELTS 公式テストセンター 違い/ IELTS難易度/ ブリテッシュカウンシルとIDP/ 申込先 違い/ UKVI/アイエルツ 比較/バークレーハウス
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IELTSとは
IELTS™とは、International English Language Testing Systemの頭文字をとったもので、「アイエルツ」と読みます。
イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの英語圏での就学や就労を希望する人の英語能力を証明する試験で、毎年350万を超える人々が受験し、世界で11,000以上(2021年7月時点)の教育機関や団体で公式な英語力の証明として認められています。
各国政府が入国審査の際のプロセスにこのIELTSを組み込んでいて、世界的に非常に信頼されている英語力証明試験と言えます^^
参照:British Council “Why is IELTS important?”
日本国内の運営(ややこしい)
IELTSのややこしさ、ここに有り!です。
「IELTS 受験 申込」等のキーワードでWEB検索をかけてみてください。
申し込み先がたくさん出てきますよね?一体どこに申し込めば良いのか初見では全く理解できませんので、順を追って説明します。
まず、IELTSは、もともとはイギリスで開発された試験制度で、現在は、以下の3つの団体の「共同所有」という形になっています。
- ケンブリッジ大学英語検定機構:問題作成
- ブリティッシュ・カウンシル
- IDP Education
この「共同所有」という点からややこしさがスタートしてますので、まずこの3団体が基本であることを頭に入れてください。この3団体を合わせて【IELTS SELT Consortium】と言います。
※IDP Educationは、1969年にオーストラリア政府によって英語圏への留学支援を目的に設立された組織で、「IELTSオーストラリア」とも呼ばれます。
日本を含む世界各国でのIELTS普及のために、上記3団体のうちブリティッシュ・カウンシルとIDP Educationがそれぞれ独自に世界各国の団体とパートナーシップを組み、テストセンターを開設しています。
ケンブリッジ大学は問題作成を担当しています^^
日本でも、ブリティッシュ・カウンシルもしくはIDP Educationに公式認定された各団体がそれぞれ独自にIELTS試験の運営を担っています。
そのため、流派というか、系列というか、【ブリティッシュ・カウンシル系のテストセンター】と【IDP系のテストセンター】があるわけです。試験内容や難易度、スコアの価値は全く同じです。
以下が、国内の運営一覧です。
※2020年にIDPとパートナーシップを結んだバークレーハウス(東京・市ヶ谷)は、2021年6月でIDP認定公式テストセンターとしての運営を終了し、2021年からUK PLUS(ブリティッシュカウンシルパートナー)と提携してUK PLUSの公式テストセンター(東京)となっているため 、運営一覧からは除いています。
さらに、ブリティッシュ・カウンシルもIDPも日本国内で「直営」のIELTS試験も運営しています。こうした日本国内の全てのIELTSの受験情報を網羅したサイトは存在しないため、各HPを確認して自分に合った日程や会場を探すしかありません。
上記の7団体は、どのHPからでも申し込みができますが、申込締切時間に違いがあったり、受験料が違ったりします。直営でしか受験できないテストもあります。「申し込み先」によって受けられる待遇やサービスが異なるので、公式テストセンターの特徴は以下の記事を参考にして下さい。
※運営団体様で上記に記載がない場合、ご連絡頂ければ追記致します。
試験の種類
2種類のIELTS
IELTSには「アカデミックモジュール」と「ジェネラル・トレーニングモジュール」という2種類の試験があり、英語圏に滞在する目的によってこのどちらかを受験する形になります。
どちらのモジュールを受けるべきかは、IELTSの申し込みの前に必ずスコア提出先の教育機関、職場または入国管理局に問い合わせて確認するようにしましょう。
- ■アカデミック モジュール
-
大学の学部留学や大学院留学を目的とする方、または高度な専門機関等への登録申請を目的とする方向けの試験です。「大学や大学院で行われる高度な講義内容を英語で理解する能力があるか?」が問われます。
- ■ジェネラル・トレーニング モジュール
-
英語圏への移住、就業、もしくは職業訓練等を目的とする方向けの試験です。「英語圏で生活を送る上で必要な実践的な英語能力」が問われます。
IELTS for UKVI
ここからがまたややこしいです。
IELTSには上記でご紹介した「従来版のIELTS」と、英国政府から正式に認可された「IELTS for UKVI」という試験があります。
UKVIとは、UK Visa and Immigration(イギリス入国管理局 )を指し、従来のIELTSと比較してよりセキュリティの高い環境で受験する試験です。ビザandイミグレ、その名の通り、英国VISA申請の際に必要となるIELTSです。但し、中身は従来のIELTSと同じで、アカデミックとジェネラル・トレーニングに分かれていて試験内容も全く同じです。
違いは「イギリス入国管理局指定の環境下で受験する」という点です。後からお話しますが、規定上、「従来のIELTSでは受け付け不可」というケースはあっても、IELTS for UKVIを受け付けないケースはありません。より信頼性の高い試験ですからね。
筆者はUKVIで受験しましたが、セキュリティチェックは正に「入国管理局」という感じで、入場の際は金属探知機を当てられ、更に試験中は不正防止の為に会場の様子が全て録画されていました。
IELTS for UKVIが必要なケースとは?
では、従来のIELTSではなくIELTS for UKVIが必要なのはどういったケースでしょう?
まず、イギリス以外への留学や移住には関係ありません。UKVI=イギリス入国管理局ですからね。また、イギリスへ留学する場合でも、留学先の教育機関がイギリス入国管理局から認可を受けていれば、UKVIでない従来版のIELTSのスコアで学生VISAの申請ができます。
これはその教育機関自体が高い信頼性をもっているからです。
この認可を受けている教育機関リストは英国政府のHPから確認できます。イギリスの殆どの大学が国立であることもあり、大学か大学院留学では殆どの場合、従来のIELTSスコアが認められます。
気を付けなければならないのは、そういった認可を受けた機関以外への留学や移住、もしくは「学部or大学院の本コース前の準備プログラム」等への入学を予定しているケースです。認可を受けた大学内のプログラムであっても、これは学位に相当するものではないため、認可対象外でUKVIのスコアが必要です。
例えば、筆者の場合はMBAが本コースで、その前に1ヵ月~3ヵ月程度、英語圏でのビジネススキル(プレゼンやレポート作成等)を学ぶプログラムが用意されていました。こういったプログラムに参加をする場合は、UKVIが必須です。Unconditional Offerを持っていて、その後の本コースへの入学が確約されていてもUKVIが必要です。必ず確認するようにしましょう。
IELTS for UKVIはどこに申し込む?
ブリティッシュ・カウンシルもしくは日本英語検定協会 で申し込みを受け付けています。
実は、これまでIELTS for UKVIはブリティッシュ・カウンシルでないと実施ができなかったのですが、2021年4月から、日本英語検定協会でもUKVIの実施が始まっています。但し、日本英語検定協会が実施できるIELTS for UKVIはペーパー形式のテストのみで、コンピュータ形式での受験を希望する場合は、従来通りブリティッシュ・カウンシルから申し込む必要があります。
コンピュータ形式のIELTSに関する詳しい情報はこちらから↓↓
その他のIELTSテスト(IELTS Life Skills)
そのほか、IELTS Life Skillsと呼ばれるテストもあります。
これは、英国ビザ申請者が入国管理審査において、スピーキングとリスニングの英語力を、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で示されるA1もしくはB1レベルであることを証明するためのテストです。
こちらも英国ビザ申請に関わるものなので、IELTS for UKVIのテストプログラムの中の1つという位置づけです。
この試験だけは他の試験と少し毛色が異なるので、以降の説明は除き、別で記事を書きますね。
受験料:最安はどのテストセンター?
- ペーパー形式:25,380円(税込)
- コンピューター形式:26,400円(税込)※日本英語検定協会orUK PLUS経由だと25,380円(税込)、ブリテッシュ・カウンシル直営は2021年10月より料金改定で27,500円(税込)。
- ペーパー形式:29,400円(税込)
- コンピューター形式:29,400円(税込)※ペーパー形式と同額
IELTS for UKVIは、通常のIELTSよりも受験料が高額です。
先ほども少し触れましたが、IELTSには紙と鉛筆で受験する従来型のペーパー形式と、2020年に開始されたコンピューター形式があります。「Computer-Delivered IELTS 」を略してCD IELTSと呼ばれます。試験の内容、採点基準、試験時間は、紙と鉛筆で受験するIELTSと全く同じです(※リスニングの書き写し時間だけ異なります)。
違いは基本的に「回答を紙に書くかコンピューターで入力するか」だけです。
IELTSのコンピューター形式の受験料に関しては、基本的には26,400円(税込)、日本英語検定協会もしくはUK PLUS経由の場合は25,380円(税込)となっていて最安です。また、ブリティッシュ・カウンシル直営のCD IELTSは2021年10月に値上げがあり、27,500円(税込)となりましたので、ご注意下さい(2021年10月追記)。
ペーパー形式の場合はどこのテストセンターで受験しても同額ですね。
CD IELTSに関する詳しい情報はこちらから↓↓
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試験の内容
4つのテスト
アカデミックモジュール、ジェネラル・トレーニングモジュール共に、
- ライティング
- リーディング
- リスニング
- スピーキング
の4つのテスト全てを受験する必要があります。
いずれかのテストだけの受験はできません。
所要時間
上記の4つテストの合計所要時間:約2時間45分
アカデミックとジェネラル・トレーニングで試験内容が異なるのはライティングとリーディングのみで、全てのテストで所要時間に違いはありません。
- ライティング:60分間
- リーディング:60分間
- リスニング:30分間(+α)
- スピーキング:11~14分間
①~③までの各セクションの間に休憩時間はありません。リスニングまで終了すると一旦解散となり、その後は各自割りあてられたスピーキングの時間に合わせて再度受付(チェックイン)をします。
スピーキングの試験時間に関しては、時間リクエストor選択ができるテストセンターとできないセンターがあります。また、日本英語検定協会主催の東京と大阪会場では、スピーキングのみ翌日に実施する「2DAY」という受験方法も選べます。
スピーキング時間が指定できるというのはかなり大きなメリットです。こういったテストセンターによる独自サービスについてはこちらの記事でまとめていますので、参考にしてください。
2DAY開催を選ぶか、スピーキングの時間リクエストor選択ができる会場でない限り、筆記テストからスピーキングまでの待機時間は「運」です。早い人で13:00開始になるのですが、筆記が終了するのが12:30頃なので、ランチをとる時間もなくスピーキングが始まります。逆に19時過ぎの人もいるので、家が近ければ一度自宅に帰ることもできます。
チェックイン時間が早いと筆記中もスピーキングが頭をよぎるし、遅すぎても集中力が切れる…。個人的には2DAYが好き、、、
尚、日本でのスピーキングテストは筆記と同日か翌日ですが、IELTSのグローバル規定では、スピーキングは「筆記テストの前後6日以内」となっています。海外での受験を検討されている方は申し込みの際によくテスト日程を確認しましょう。
試験内容
試験内容を以下の表にまとめました。
リスニングとスピーキングは、アカデミックもジェネラル・トレーニングも内容は同じです。ライティングとリーディングは、アカデミックの問題はより学術的で、ジェネラル・トレーニングは一般的な内容になっています。特にリーディングでは、出題される文章の質がかなり異なります。
こちらから各モジュールのサンプル問題が見れますので、チェックしてみてください。
時間 | 課題 | アカデミック | ジェネラルトレーニング | |
---|---|---|---|---|
Writing | 60分 | 全2問 | Task1: グラフや表、図形を分析し、客観的に約150語で説明する。フローチャートや手順書の場合も有る。 Task2: 与えられた主張やテーマに関して、筋道を立てながら自分の主張を約250語でまとめる。 ※どちらのTaskでもフォーマルな文体が求められる。 | Task1: 設定された状況に合わせて情報を求めたり立場を説明する手紙を書く。 約150語。 Task2: 一般的な題材について、約250語で意見をまとめる。 ※どちらのTaskでもアカデミックライティングほど改まった文体は求められないが、Task1では状況によりフォーマルさが必要な場合もある。 |
Reading | 60分 | 全40問 | 全3セクション それぞれのセクションで、 1つの長文とそれに対する設問が用意されている。 文章は、書籍、専門誌、雑誌、新聞等からの抜粋で、学術的なトピックに関して一般読者向けに書かれたもの。 あまりに専門的な用語には注釈が付く。文章の長さは全体で2,150~2,750語。 | 全3つのセクション セクション1: 2~3つの短文を読んで設問に答える。 セクション2: 仕事に関連した2つの短文を読み設問に答える。 仕事への応募、企業方針、職場環境、研修案内等。 セクション3: 一般的なトピックを扱った比較的長めで複雑な文章を読み、設問に答える。 |
Listening | 30分 +10分 | 全40問 | 全4パート パート1:日常生活における2人の会話(宿泊施設の予約等) パート2:1人の人物による日常生活における描写や説明 パート3:教育現場における複数人物の議論や会話 パート4:学術的なテーマに関する講義や説明 ※アナウンスは約30分、その後に解答用紙に書き写す時間が10分間与えらえる。 | |
Speaking | 11~14分 | 3パート | 全3パート(1対1のインタビュー形式) パート1:自己紹介と日常生活に関する質問 挨拶に始まり、受験者の身の回りの一般的な事柄について質問される(4~5分)。 パート2:スピーチ(3~4分) トピックとスピーチの要点が書かれたカードと、メモを取るための紙と鉛筆が渡される。 1分間準備をしてその後最大2分間のスピーチを行う。スピーチの後に1~2つ同じトピックについて質問される。 パート3:ディスカッション(4~5分) パート2のトピックについて、より掘り下げられた質問がされる。受験者はより深く自分の考えを述べる。 |
採点方法
テスト結果は1.0から9.0のバンドスコア(0.5刻み)で示され、合格、不合格はありません。
ライティング、リーディング、リスニング、スピーキングの各パートごとの英語力がバンドスコアで示され、総合評価として4つの技能を総合したオーバーオール・バンド・スコア(OA)が出ます。
OAスコアを自動算出する計算機を作りました^^
各パートのスコアを入力すると自動でOAが出てきます。スコアメイクの戦略を立てる際に便利。下記の記事から無料で使えます!
バンドスコアのレベル
下記は、IELTSの各バンドスコアが「どの程度の実力を持ったユーザーか?」という基準を一覧にしたものです。
一般的に、海外の大学入学に必要なバンドスコアは6.0~6.5以上、大学院入学では6.5以上が目安です。
留学先の国によっても多少傾向の違いはありますし、留学する分野によっても異なります。
例えば、理系分野での大学院留学となると、英語力以外に専門分野での実績を重視することも多く、同じ大学の他の分野に比べて英語のスコア条件は多少ゆるくなっていることがあります。逆にMBAの場合は、一定レベル以上の大学で、ほぼ7.0以上が求められます。
ご自身に必要なスコアについては、必ず最新情報を確認しましょう。
絶対失敗できない人向け
最後に
IELTSに関して、基本情報を一通りご紹介しましたが、イメージは掴めましたか?
試験内容にしても受験料にしても、ちょっとハードルが高いと感じられた方も多いかもしれません。特にスピーキングやライティングといったアウトプット系のテストはプレッシャーですよね。
このテストは英語力の確認というよりも、明確な目的をもって受験に臨む方が殆どだと思います。簡単な試験ではありませんが、しっかり計画を立てて目標をクリアし、希望の進路を掴み取りましょう!
今後、各テストの勉強方法や受験時のコツ等をアップしていきますね。
今回、IELTSに関する第1回目の記事ということで、基本情報以外に1つ読者の方にお伝えするとしたら…と考えていて。何にしようかと迷ったのですが、私が一番苦しんだ「IELTSの難しさ」について記しておこうと思います。
IELTSの難しさ
これはずばり「4技能全てのスコアを揃えること」です。
出題されるトピックによって得意・不得意があり点数が変動する…という部分はもちろん他のテストと同じようにあります。リーディングで苦手分野が出たけどライティングは重点的に対策したトピックだった…とか。そういった意味で、そもそも4技能全てのスコアを一度の試験で揃えることって難しいです。
ただこれは、守備範囲を広げるに尽きますよね(それが難しいんですが)。
IELTSの場合は、そこに更に「人が採点する」という要素が加わります。ライティングとスピーキングですね。合っているか間違っているかではなく、「採点基準」と照らし合わせて試験官が受験者のレベルをジャッジするので、試験官によって結構差がでるんです。
特にライティングは感触と結果が伴わないことが多く、苦労しました。追い詰められると余計に焦って実力が出せなくなってしまうので、スコアメイクはくれぐれも余裕を持って計画を立てましょう!
スピーキングについても最終的に7.5がとれましたが、感触としては6.5をとった時よりも話せなくて、泣きながら帰りました…情緒不安定。スコアがある程度安定しても、人が採点する以上、ブレはあります。どうしても納得がいかない場合は「再採点」を依頼することもできます。受験を控えている方、頑張りましょう!応援しています^^
※再採点についての記事はこちらから。
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