2022年も早1ヶ月が過ぎました。私事ですが、「やりたいことは全部やる」をモットーに2021年半ばに起業をして、TINATECHを通して情報発信を始めたり、経営やマーケティングのお手伝いをしたり、はたまた貿易やアパレルの勉強をしたりと、この半年程は所謂【パラレルワーク】という働き方を実践してきました。
本サイトTINATECHに関しては、昨年9月に開設して以降、【苦労した経験は必ずいま頑張っている誰かのヒントになる】という信念のもと「英語学習」「MBA」「働き方やマインド」といった観点から記事を執筆しています。
どうしたら上手く読者の方に伝わる記事になるのか試行錯誤の日々ですが、「当時の自分にこの情報があれば…」と思うことをリアルに発信しています。
心を込めて書きつつ、締め切りも意識しつつ。
さて、このパラレルワークですが、良い面もあればもちろん大変な面も。今回は筆者のパラレルワークの現状についてお話したいと思います。
【関連ワード】パラレルワーク/複業/兼業/2枚以上の名刺/コンサル/WEBサイト運営/パラレルワーカー/副業/webライター
パラレルワークとは
パラレルワーク(Parallel work)の「パラレル」は「並行の」という意味で、【パラレルワーク】とは、同時進行で複数の仕事に携わる働き方です。特に本業を複数持つ場合を指します。
似た言葉で【パラレルキャリア(parallel career)】というものがあります。これはかの有名な経営学者ピーター・ドラッガーが当時「これからの生き方」として提唱したもので、「本業を持ちながら第二のキャリアを築いていく生き方」を指します。パラレルワークの前身とも言える概念です。
ここで言う「第二のキャリア」というのは、働いて報酬を得る経済活動以外に、ボランティアやスキルアップといった人生を豊かにする活動全般が含まれます。
パラレルワークが「マネタイズできるプロジェクトを同時に複数持つ」的な意味合いで使われるのに対して、パラレルキャリアはどちらかというと「人生を豊かにするために活動の幅を広げる」という観点でしょうか。
パラレルキャリアについては、ドラッガーの著書【明日を支配するもの-21世紀のマネジメント革命】の中で語られているので、ご興味ある方は是非^^
副業と何が違うの?
仕事を複数持つという意味で、「副業」という言葉もあります。
これは概念としてパラレルワークとは明確に異なっていて、「本業を持つ傍らで副収入を得るために行う就労全般」を指します。サイドビジネスですね。
分かりやすい例だと、平日は会社員として働いていて、休日や就労後の空いた時間でアルバイトをしている場合、本業が会社員で、副業としてアルバイトで副収入を得ているということになります。
パラレルワークの概念は、「本業」「副業」という明確な区別を持たず、複数の本業を同時進行する働き方です。「複業」や「兼業」と言い換えられますね。
パラレルワークのメリット
では早速、筆者自身が体感しているパラレルワークのメリットについてお伝えします。
リスクを分散できる
個人的にこれが一番大きいと思っています。
例えば筆者の場合、企画段階のものも含めると大きく5つの事業に携わっています。内容は、サイト運営、経営コンサル、営業代行、貿易業、アパレル業の5つです。
どれか1つの事業が低調となっても、他の事業がうまく行っていればそのマイナスをカバーできます。
マネジメントスキル以前に、現実世界ではパンデミックのような予測不可能なことが起こります。複数の本業を持っていることでそのリスクを分散させることができます。
又は、リスクを分散できる以前に、そもそも最小リスクで進めることができるという面もあります。ある一定水準の収入が必要だとして、1つの事業でその水準を満たすには初期投資等である程度のリスクを取る必要がありますが、全ての事業の収益を合算して必要水準を達成すれば良いとすると、スモールスタートが可能です。
やりたくてもなかなか手が出せなかったことにも取り掛かりやすくなります。
やりがいを感じやすい
筆者の場合は基本的に「やりたいことを全てやっている」わけなので、やりがいは勿論ありますが、そうでなくても、パラレルワークを実践している方は「少なくとも1つは得意分野や興味のあることを他の本業と並行して進めている状態」だと思います。
生活のために興味のある分野の仕事を諦めて本業に集中していた時代から、会社員であっても他に本業を持つことが許される時代になりました(会社によりますが)。
子供の頃に学校で習う勉強は嫌いだったのに、大人になって自ら興味を持って学ぶ勉強は楽しくて仕方がないのと同じですよね。主体性を持った働き方はやりがいを得やすいです。
主体性や目的意識を持って仕事を創造することと「好きなことを仕事にする」のはまた別なのでご注意。永遠のテーマですね。
事業間の相互作用が期待できる
夫々の事業に一見関連がなくても、1つの事業で得た知見が他の事業に役立つことが多々あります。
例えば、本サイトTINATECH運営のためにWEBサイトの立ち上げ方や仕組みを学び、いかに多くの人の目に留まるサイトにするのかといったWEBマーケティングを日々試行錯誤しながら進めているわけですが、それらは全て他の事業でも有効な知見です。
経営コンサルではオンライン集客についてより説得力のあるアドバイスができますし、営業代行では自らWEBツールを使いこなすことが出来ます。貿易やアパレルでも、ECサイトの仕組みを理解していれば効率的に企画を進めることができます。
逆に、他の事業での気付きや出来事が、このサイトの記事のアイデアに繋がったりもします。執筆業ってアウトプットだけだと引き出しを消費していく感覚があるのですが、他の事業に携わることで自然とインプットの機会に恵まれている感じです。
筆者は以前から常々、業界/業種を超えた交流が相互の発展をもたらすと感じていて。トヨタの「かんばん方式」とか最たる例です。「必要なものを必要なときに必要なだけ作る(在庫を無駄に持たない)」生産方式で、トヨタが生み出した生産管理システムとして世界的に有名ですが、これはアメリカのスーパーマーケットの在庫補充法にヒントを得ています。アメリカ式の自動車生産工場の視察で、規模の違いを目の当たりにして打ちのめされたトヨタ経営陣が何気なく立ち寄ったスーパーにヒントが隠されていたんです。
パラレルワークでは、こういったイノベーションが生まれやすい気がします。ある業界では当たり前のことが、意外と他の業界では目からウロコだったりするんですよね。
気分転換ができる
1つの仕事で行き詰まった際に、複数の仕事を持っていることで自然と頭がリセットされて気分転換ができます。結果、行き詰まった仕事のリカバリーもスムーズになります。
筆者の前職は技術系のコンサル営業なのですが、ワーカホリックだったこともあり、今思えば仕事上のリセットのタイミングって殆どなかったように思います。そうなると、どうしても考え方が凝り固まってしまったり、俯瞰して物事を見れなくなっていくんですよね。自覚はなくても精神的に疲弊していきます。
もちろんジムで身体を動かしたり友人と会ったりしてリフレッシュはしていましたが、仕事に戻ると結局頭はまた同じ状態からスタートするというか。一時の逃避のような。
それが、他の仕事によって気分転換ができると、頭がリセットされる感覚があるんですよね。不思議。これは思わぬメリットでした。
人間関係とかもそうかも。ずっと同じ1つのコミュニティの中にいると逃げ場がないですが、他のコミュニティを持つことで客観視できて救われたりします。要はバランスですかね。
ルール(場所や時間)に捉われない働き方ができる
企業にはもちろんルールが存在します。会社員として1つの企業に勤めるという働き方であれば、勤務地、出勤時間、残業時間、年間休日等、企業のルールに従って生活を組み立てることになります。転勤等もありますね。
パラレルワークでは、それらを自分の意志で組み立てることが可能です。時間の使い方が自由になることは、人生において大きなメリットです。
逆に、ある程度の規律や安定が欲しいという場合には、どこかの企業に勤めて給与報酬を得ながら他に本業を持つという手もあります。その場合の勤務体系は企業との契約によりますが、パラレルワーク容認の企業も増えてきているので、働き方は多様です。
パラレルワークのデメリット
続いてデメリットです。
多くはメリットと表裏一体というか、メリットでもありデメリットでもある点が多かったりします。
半年程パラレルワーカーとして動いてみた筆者の主観が多分に含まれる上に、現在「パラレルワークの難しさ」に絶賛直面中のため、この記事を書きながら問題点の洗い出しを行っています…。お付き合い下さい。
来年の今頃にこの記事を見返して、未熟だった自分を笑えますように…。
工数の分配が難しい
5つの事業があって、自分の工数を単純に5等分して時間を使えるかと言うと、そう上手くはいかないです。そもそも、そうする必要もないのかもしれませんが。
現状(というか惨状)で言うと、例えば、記事を執筆している時にはそれに集中してしまって他のことに十分に時間がとれなくなってしまうので、他の仕事に集中する必要がある時には一定期間更新をストップして取り掛かる…というパターンになっています。
また、どうしても収益の見込みのある仕事や締切が迫っている仕事が優先になってしまって、企画段階のものが先延ばしになってしまいます。
各々の事業がある程度成熟していけば、工数配分が少しは楽になるかと思います。「慣れ」も大きいです。筆者の場合、育てている段階の事業ばかりなのが問題ですね…。やはり立ち上げは時間がかかります。ただ、今後改善はすれど、パラレルワークを続ける以上、多かれ少なかれ工数配分問題はつきものだと思います。
オン/オフの切り替えが難しい
会社員として働く場合、休日は明確にオフですよね。最近は個人情報や機密情報の取り扱いルールが厳格化していて、PCを含む一切のデータの持ち出しを禁じている企業も多いです。
ルールというのは窮屈である反面、やるべきこともやらなくて良いことも明確なんです。極端な話、出社時刻に会社にいて、ルールに従ってさえいればお給料が出ます。
もちろん会社員でも、主体性や協調性、あるいは専門性なくしては社内でも仕事が回ってこないという現実がありますが、ここでは比較対象としてシンプルに。
パラレルワーカーの場合、時間の使い方は自由ですが、それ故にオン/オフの明確な線引きがなくなりがちです。「工数の配分」にも関連しますが、本業をいくつか持って自分の工数を配分したところで、それは単なる自分の中の「比率」であって、各事業で必要とする工数自体は変わりません。さらに言うと、それぞれの仕事に対する思い入れや情熱は配分されず、どれも100%なわけです。
そうなると必然的に、自分の工数を増やすしか解決策がありません。
土日は休むと決めていても、やりたいこと・やるべきことがあれば、ついPCを開いてしまうんです。それが出来る環境ですからね。夜遅くまで仕事をしても、労務管理から指摘が入ることもありません。
その分、体調が優れない時などは、クライアントとの約束がなければ自分の裁量で休むことができます。「仕事」という面では、ある意味効率が良いのかもしれませんが、仕事とプライベートの境界がなくなっている感覚はあります。
パラレルワークを初めてまだ半年。なんとなく、結局最終的にはルールを決めて明確な休日を作る方向にいくんじゃないかと感じています。オン/オフの切り替え、大事ですよね。
スピード感に欠ける
本業一本の働き方と比べると、どうしてもスピード感に欠けます。
- 仕事の習得ペース
- ネットワークの構築ペース
- 専門性を高めるペース
- 経験(案件数etc.)
…等々、持っている仕事の数だけペースも分配されてしまう感じで、ジレンマです。
これも裏を返せば、その分ほかの知識や経験を積んでいるとも言えるのですが、1つの仕事として見た時に絶対的にスピード感が必要な場面はあるわけで、中途半端なことをしている感覚に陥ります。
どこかの記事でも書きましたが、筆者自身、もともと技術者への憧れが強く、それも影響してジレンマに陥っています。スペシャリストとして道を究めるのとは真逆の働き方ですからね。超個人的な問題です…。スピード感はなくとも、時間が解決するものではあると思うので、割り切りが必要ですね。
職業アイデンティティを確立しづらい
最後に、職業として分かりづらいという点はあると思います。
「職業アイデンティティ」というのは結構重要で、「自分はこの仕事で社会に貢献している」という使命感というのは「自分が何者であるか」という存在認識にも繋がります。
例えば、医者や警察官、弁護士や教師といった明確なステイタスを説明しやすい職種の場合、「自分は医者である」「自分は警察官である」ということ自体が「自身を形成する大きな要素」になるのはイメージしやすいかと思います。人は社会的動物なので、職業というのは収入以外にも大きな役割を持ちます。
複数の仕事を持つメリットを選んでパラレルワークという形をとるわけですが、職業自体にアイデンティティを見出すというよりも、自分自身に価値を見出すという思考に変えていかないと辛くなる働き方だと思います。
職業は何ですか?と聞かれて一言で答え辛いのは、「本業がいくつもあるから」というシンプルな理由ですが、ある意味デメリットと言えるでしょうね。「分かりやすい」というのは信頼を得る上で重要な要素です。
「〇〇会社に勤めています」「教師です」という一言でなんとなく安心してしまうというのは誰しも思い当たるんじゃないでしょうか。それが全てではないですが、そういう面もあるということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はパラレルワークをはじめた筆者のリアルな本音をまとめてみました。ジレンマを抱えて悶々としていましたが、ちょっと頭がすっきりしました。
お付き合いありがとうございます。
いきなり働き方を変えなくても、趣味の延長で小さな副業から始めてみるというのも色々と発見があって面白いですよ^^